オルガニスト楽屋話

第262話  時代は変わった(帰国ご報告) ---2024.8.12.

1ヵ月の欧州滞在から帰国致しました。時代は変わりました。
教会のオルガンの鍵は、電子キーかタッチキー、暗証番号に。廻す鍵ではなくなりました。最後に滞在したヘルシンキのアパートメントホテルは、 全て暗証番号でキーレス、カードレス。鍵を持ち歩く必要もなく、紛失する心配もありません。

大きなカテドラルで深夜までの練習。「最後に出る時に、電気を消し、鍵を閉め、アラームも入れてね」と。司祭室など教会裏の部屋を通り、 幾つものドアを開け閉めし、暗闇の中、最後の扉に到着。アラームを入れる、ドキドキの作業。

そこで1ヶ月お世話になったのが、このSIMカード。もはや旅は変わり、街のトラムやバスのチケットはアプリで購入。 トラムやバスの駅や車内では販売していない、売っていても買える場所は少なく、その場所を見つけるのも大変。 ドイツやフランスの鉄道も同様で、駅で並ぶ必要もない。紙のチケットではなく、スマートフォンへ。アプリは乗れる電車、遅延も教えてくれる。 つまり携帯電話は、街を歩く時、常にネット接続されていることが必要とされます。

タクシーを呼ぶ、これはフランスで利用しましたが、UberやBolt。これもネット接続がないと使えない、つまりタクシーを頼む際にもネット接続が必要とされます。 フランスの田舎街で、Uberを利用し、これなしでは、あの田舎の村から駅へ辿り着けませんでした。

それで今回、重宝したのが、このSIMカード!!出発前に Amazonで1900円ほどで購入。確か欧州35カ国で使え、10G。日本を出る前日に設定し、羽田空港でSIMカードを入れ替えをし、 今回のドイツ、フランス、フィンランド、どこに行っても設定はそのままスムーズに使えました。
新しい場所へ行く時も、Goegle mapを開き、道案内。トラムの降りる駅が次です、と日本語案内まで。乗る電車の情報まで教えてくれる。
LINEを使えば、日本の母へ、1〜2日に一回、ビデオ電話。以前のような高額な国際電話代など払う必要なし。
欧州で普及しているWhatsAppで、行く先々の主催者やオルガニストと練習時間や鍵のこと、待ち合わせ場所の連絡、緊急時には電話もかかってくる。 コンビネーションやメモリーのシステムを動画で送ってきた所もありました。
スーパーでの買い物、分からないフィンランドを訳しながら、ここでもネット接続は不可欠。フィンランド語はないけれど、フランスではカメラ翻訳も利用。 約1ヶ月毎日使って確認したら、使用量はたった4.7ギガ。10ギガのシムで充分でした。 フランスではTabac、フィンランドではキオスクで、4ユーロ、10ユーロ、と安価で買えるけれど、買う場所を探す手間と時間、そして何より今回も フランクフルト空港のタラップに降りるなり電源を入れ、乗れる列車を確認したり、、Amazon購入はすぐに使え良かったです。

さて、私は無事帰国致しましたが、実は帰りの帰途の途中で、スーツケースとはぐれてしまいました。
8月6日、7:40 Helsinki (Finnair)- 9:20 Frankfurt (Terminal 2)
12:10 Frankfurt (ANA) (Terminal 1)- Haneda
この乗継でしたが、Frankfurt空港で待てど暮らせど、スーツケースがターンテーブルに出てこない。同じ飛行機から降りた乗客のうち、半分の人のスーツケースは出て来たのですが、残り半分、約20名が待っている。 待つこと、1時間。エアタグを荷物に入れている人がいて、「第1ターミナルに荷物はある」と言い始めました。違う所へ運んでしまった訳です。
係員に何を聞いても「もうしばらくお待ちください」の連発。乗り継ぎがある、しかもターミナル移動(ご存知の方も多いと思いますが、とても離れている、移動はバスか電車)、30分かかる。 周囲の人に聞いてみたところ、あとの方々はフランクフルトで降りる、乗継は私だけということが判明。
結局、ボスのような女性が来て「荷物無しで、行ってください」と言われ、慌てて走る私。運よくバスがいて飛び乗り、第1ターミナル内をまた走り、ANAカウンターへ。 事情を話すと「最終登場まであと8分です。ここで出来ることはないので、ゲートへ行ってください」
ゲートでも、荷物タグ番号でlost baggage を調べてもらうも、出てこない。「あとは東京で問い合わせ、探してください」

仕方なく、スーツケースがなくなっていることをわかって搭乗。どこかへ行ってしまったスーツケース。乗ってしまって良かったのか、フランクフルトで留まり、もう1泊しても探すべきだったか。後ろ髪を引かれる思い。
機内でスチュワーデスに相談するも、「Finnairさんの管轄ですから」、、確かに。それでも話をしていたら、親切にもフランクフルトの地上係員にメールしてくれたと言う。機内でもWifi使えるからと。 羽田到着1時間前「申し訳ありません。探せていないそうです。降りてから、ご相談ください」。

すると、到着寸前「井上さまのお名前タグが付いたバッグがあったそうです。羽田で話を聞いてください。」と。
とはいえ、どうやって私の手元まで運ばれるのか、Finnairは、フランクフルト-羽田便はない、とすると、またヘルシンキまで戻るのか。不安はつのる。
一応、別荘品申請書類を書かされ、出てきた場合、税関を通すことになるからと。
「中には衣類の他には?」
「楽譜が入っています」
フランクフルトにあることはわかった、しかし、それが私の手元に届くものなのか、、、仕方なく、不安を胸に帰宅。
今回、フランクフルト−ヘルシンキ間のチケットは、別途購入しているので、Finnairには、私が東京へ向かっている情報は入っていない。 どうなるのか心配していたところ、、翌日の夜、 ANAから電話、「スーツケースはFinnairが後送をLufthansaへ頼み、明日の朝、羽田着のLufthansa便の乗ります」。

ああ、良かった!!!! 翌日、羽田へ取りに行くことになりました。2日間、行方不明になったスーツケース。 過去に一度、プラハへ行った際、ミュンヘン乗り換えで、スーツケースが私の飛行機に乗らず、翌日ホテルへ届けられたことはありましたが、今回また、、驚きました。 フランクフルト空港は巨大なので要注意、それも肝に銘じてたのですが、今回のようなことが起こってしまいました。 折しも誕生日、お祝いどころではなくなってしまいました。

昨日は、ドイツ在住のヴァイオリニスト、古川裕章さんと礼拝奏楽。美しいヴァイオリンの響きに魅了され、久しぶりの教会での奏楽。 そして今日は、ご葬儀。楽譜もですが、着ているブラウス、パンツ、靴、オルガンシューズ、、いわゆる私にとっての「仕事用の道具 一式」・・その全てスーツケースの中に入っていたものでした。 本当に、無事手元に届き良かったです。

取り急ぎ、帰国のご報告です。旅のお話と写真は、これから追ってアップさせていただきます。






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