オルガニスト楽屋話

第4話 何役もの”顔”をもった毎日---1997.3.20.


<失礼ですが、お仕事は?>いつもこの答えには、とまどってしまいます。<オルガンを弾いています。>−−−<コンサートホールの正面にある、あの大きな楽器ですか?>
幸い、ここ数年、日本のオルガンの数も増えたせいか、あの”パイプの付いた楽器”を弾くのだと理解してくれる人も、少しずつ増えてきました。けれども、まだまだ相手の様子を伺って、<大学講師>とか、<演奏家>と、逃げてしまいます。 <教会のオルガニストですか?結婚式とか−−> これも実は正しいのです。


今でこそ<コンサートオルガニスト>と呼ばれることすらあるのですが、私がオルガンを始めた頃、勉強していた時には、 そんな仕事は夢にも考えられませんでしたし、存在もしていませんでした。将来のことなど何も考えず、夢中になっているうちに、幸運なことに日本にも楽器が増え、そして私にも演奏の場が少しずつ与えられ、こうしたお仕事が増えてくるようになったという訳です。このホームページでは、主に私の演奏活動の情報を載せておりますが、演奏家としての他に、私には大学講師、教会オルガニスト、大学オルガニストとしての時間もあります。


小さい頃から教会へは時々行っておりましたが、大学生の時、洗礼を受け、クリスチャンとなりました。それ以来、 月一回は日本キリスト教団大森めぐみ教会で、週一回青山学院大学での礼拝で弾いております。スケジュールに追われ、息つく暇のないような一週間でも、ほっと心を落ち着かせることの出来る時間です。
そして大学でのレッスン。オルガンの魅力にひかれ、私と一緒になって目標に向って走ってくれる若い学生たちの姿が嬉しくて、週一回、東京から神戸への日帰り(飛行機で)も、遠いと感じたことはないのです。神戸女学院大学音楽学部のオルガン専攻の学生を、教えています。 こうした何役もの"顔”をもった毎日を過ごしております。

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