オルガニスト楽屋話

第115話  秋、コンサート・シーズン到来♪ ---2010.9.25.

長くて暑かった夏も終わり、秋の訪れを感じられるようになりました。夏は好きな季節ですが、 今年の夏は猛暑日の連続。教会のオルガンは2階のバルコニーにあるのですが、階段を上がることに 気温もどんどん高くなり、演奏台の温度計は連日35度〜〜、サウナ状態〜、暑さとの戦いでもありました。

練習後は冷たいプールへ飛び込み、クールダウン&リフレッシュ&トレーニング〜〜。水泳から余計な力を抜く、 脱力する感覚を覚えました。演奏、特にオルガン演奏は指先(足先)の動きだけでなく、体全体で演奏する、 体と楽器との“かかわり”がとても大切です。楽器から奏でられる音に違いをつくります。 楽器と体とがひとつになること、そしてしなやかさで柔軟な体は、豊かな表情をつくることが出来ます。 水泳は繊細な感覚を磨き、また練習で疲れた体をリセットする、、2つの効果があります。

演奏のための体づくりと健康維持のため、そして楽しみでもあり、泳ぐことは毎日の大切な日課になっています。 なかなか上達しないおばさんスイマーに、根気強く熱心な指導をしてくださる名コーチ達☆には感謝です。

競泳といえば、平泳ぎの北島康介選手、パンパシフィック選手権で見事に100Mと200Mで2つの金メダルを獲得。 不調だった時期もありながら、2冠を獲得、世界のトップに再び立つという快挙を成し遂げました。 水泳界のトップに君臨し、 常に成長している北島選手の「練習は裏切らない」という言葉は心に響きました。 演奏家の私たちと全く同じですね。緊張し演奏会のステージに上がるとき、 ここまで練習してきたのだから、、そういう気持ちが何より自信に繋がります。 そしてその日の準備に費やした時間、努力は必ず成果として現れます。練習は裏切ることはないです。 もちろんそれだけではありません、作品を熟知し愛することも大切ですが。

また北島選手はカリフォルニアに本拠地を移しトレーニングを積んだそうですが、 舞台を日本から世界に広げることにより、自分の持っている能力や可能性をさらに引き出すことが出来る、 レベルアップすることが出来るのです。これも音楽、とりわけ西欧に歴史を持つ オルガンを学ぶ私達と共通すると私は思いました。世界に自分を置くことにより、さらに高めることが出来るのです。

話は再び楽器との“かかわり”の話に戻りますが、私がよく弾いている楽器、例えば教会のオルガンや大学のオルガンですと、 ほかのオルガニストやお弟子さんが弾いているのを離れた場所、演奏している姿が見えない場所で聴いていても、 手と鍵盤との関わり方がわかる=聞こえてくるのです。音楽を聴く、楽しむ上では必要のないことなのですが、 職業病ですね、余計なことなのですがわかって(聞こえて)しまうのです。その位、体と楽器のかかわりは音に、そして演奏に反映する のです。音楽の“表情”はこうして生まれる、、楽器と演奏者の関係はとても大切だと思うのです。

演奏旅行にそして休暇にと過ごした夏が終わり、いよいよ秋から冬へのコンサートシーズンが始まります。 クリスマスまでのラインアップ、演奏する曲たちが決まりました。これから演奏する楽譜の山に囲まれています♪。 来週9月30日は川口リリアホールでチェリストの古川展生さんと。チェロの暖かく豊かな響きは大好きですし、 伴奏させていただきますこと楽しみです。オルガンソロでは、バッハの大宇宙のような大作、「前奏曲と フーガ ホ短調」、そしてダイナミック&シンフォニックで、私がフランクのオルガン作品の中で最も好きな 「幻想曲イ長調」を演奏します。そして10月19日には久しぶりに東京カテドラルで、オルガンは以前も楽器とは 変わっていますが、丹下健三さん設計の残響の長い教会で。そして大阪いずみホールでの式典で演奏し、来月は 札幌北一条教会で、、、と各地での演奏が続きます。夏の間に準備したこと、またヨーロッパでの 経験を生かし、また皆様方に喜んでいただけますような音楽をお届けしたいと思いながら、新しい季節を迎えています。

(写真はオルガニストを務める大森めぐみ教会のシュヴェンケデル・オルガンの前で。)


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