第118話 クリスマス・ドイツ音楽ツアー(前編) ---2010.12.19.
コンサート疲れなどとは言ってはいられない、翌朝は早く起床し成田へ。クリスマス・ドイツ音楽ツアー の始まりです。こんな旅が出来たらという夢がこれから現実に。旅好きの私は自由きままな個人旅行は度重ねてはいるものの、 皆様をご案内するツアーとなると何かと訳が違う。『井上圭子さんと行くドイツ静謐のカペレと賑々のマルクト』と書かれた 名札が準備されていて、参加者の方々のスーツケースに、そして私の鞄にも付けられた。 果たして全てが上手く無事に進行するか、満足していただける旅になるかと ドキドキの中、この企画の発起人の方(ツアーのタイトルの命名者でもあります)とJTBの方から 「行ってらっしゃい〜!」と見送られ、添乗員さんに付き添われ私たちの旅はスタートしました。
ツアー中のお天気は概ね良好、お天気にはついていました。雪もぱらぱらと舞うのですが、時折、太陽も顔を出し、 車窓からは白銀の世界を楽しみました。 クリスマス前のドイツ(正確には2日間はオーストリアでしたが)、明るく喜びに満ちた季節、家々からは暖かい明かりが漏れ、 街ごとに統一された美しいイルミネーションに街は飾られ、それは日本のようにチカチカと点滅する明かりではなく、 落ち着いた暖かみのある光で、素朴でありながらお洒落です。灯りに舞う雪は、旅人の私達を楽しませてくれました。 お店のショーウィンドウ、またホテルやレストランも誰もが心温まるようなセンスの良い飾り付けがなされ、 可愛い飾りが置かれたり、クリスマスツリーが飾られたりで、そうしたお部屋の中は暖房がきき、また暖かみのある装飾のせいか、 零下という外の寒さも感じず過ごすことが出来ました。(右の写真はローテンブルク、ホテルの前で。朝です。)
各地のクリスマス・マーケットを訪ねたり、また教会を訪ねたり。大聖堂や教会に入ると、オルガンが鳴っていることも多く、
オルガンの響きを聴くことにも恵まれました。クリスマス前なので、オルガニストがコンサートやミサのために練習をしていたのでしょう。
ビュルツブルクのケッペレでは、歴史的なオルガンで私のミニ・コンサート。アドヴェントとクリスマスの曲をお聴きいただきました。
そしてオルガン工房を訪問、オルガンの製作の現場のみならず、オルガンの音の鳴る仕組みも説明してくださったのは、
オルガンを知っていただける良い機会になったと思います。
ザルツブルクは日曜日、折りしも第3アドヴェント。大聖堂のミサに参列。ガイドさんは入口まで来ると、ガイドの免許書をつけて(肩から提げていました)
ミサには一緒に入れないと言うのです。
理由を尋ねると、ミサの時間は観光で入ってはいけない、お客様を案内するとガイドの資格を失う、ということでした。
「ここからは、先生お願いします」と。私が率い、モーツアルトがオルガニストをしていた教会へ。その日はコーラスと
金管アンサンブルの入った音楽ミサでした。
さて、昨日無事に帰国はしたのですが、実は帰りのフランクフルト空港で、大変なハプニングが。 空港には飛行機の出発時間の2時間半前に到着、余裕ある時間のはずでした。しかし出発ロビーに入ると人でいっぱい。歩くのも困難、経験もないような大混雑です。 どこのカウンターも長蛇の列。並ぶ人の列はどこまでも続く。そして列はぴったり止まったまま動かない。 前日の夜の大雪で、欠航になった便があり、乗れなかった人、チケットを買う人、キャンセルする人で大混乱状態だと。 確かに前の晩、私たちが最後の食事を楽しんでいる時、窓の外は大雪でした。でも今朝は快晴。 道路の雪の心配はしたものの、まさか空港がこんなパニックになっているとは。 この列を並んでいたら、飛行機には間に合わない。現地のガイドさんも慌て、機械の自動チェクイン機でとりあえず航空券をゲット。 あとはスーツケースをどうするか、どこかで出せないものか、ということになり、 私のANAのゴールドカードでファーストクラスのチェクイン・カウンター(毎週大阪がよいで荷物だけは いつもファーストクラス扱いに)から皆の荷物を出せないか交渉に走った私たち。 しかし、そこも長蛇の列、交渉の余地もなし。添乗員さんからのアドヴァイスで、スーツケースを持って中に入り、搭乗口で 荷物を預けることになった。パスポート審査の所へ案内されると、「国境ですから、私はここからは入れません」とガイドさん。 我々だけになった。大きな荷物を持ったまま、急ぎ足で長い通路を搭乗口へと。免税品店も、それから税金の払い戻しも全て放棄。 とにかく飛行機に乗らないと。外用に着込んでいたので暑い〜。
セキュリティ・チェックの所まで来た。「これは手荷物ではありません!!絶対に持っては入れません!!!」「どうやってここまで
入ってきたのですか?!」「どうしてもダメです」・・・強い口調のドイツ語に私もドイツ調で「時間がないのです、飛行機に乗れなくなります!!」
「下の大混乱は知っているのですか?!!」。。。。「上司に聞かなくてはわかりません」。
こうしたやりとりの後、ようやく手荷物をとして通してもらえることになった、やれやれ。しかし、、「手荷物なので水もの、ボトル、は全部出してください」。
そして荷物の隅々まで機械に通され検査され、開けられた。ワインが入っている〜〜困った。そしてチーズと(チーズは問題ないけれど)
こっそりしのばせた○○、これは間違いなく没収されるだろう。仕方ない、飛行機に乗ることが先決だ。もし乗れなかったら大変なことになる。
ここまで持って来たワインは捨てられることに。化粧品類はOKだった、日本出国時とサイズの規定が違うようだ、助かった。そして
○○には気付かれずに、、、。そして搭乗口で再度交渉。「規則」に煩いドイツを何とか出国できた。搭乗口に一緒に着いた方々に聞くと我々より
2時間前からカウンターにいた人たち、体は乗れたが荷物は後の飛行機、という乗客も。乗り遅れた人もいたようだ。
|