オルガニスト楽屋話

第144話  楽譜 ---2012.7.21.

いつも見て見ぬふり、 なかなか手をつけられなかった楽譜棚を思い切って 整頓することに。
オルガンの譜面は手鍵盤とペダルの3段譜のせいでしょうか、 大きい上に、縦型、横型と形も大きさもバラバラ。大きなクローゼットに収納していますが、 楽譜は増える一方で、大量の楽譜と楽譜のコピー をどう整理するか、、大変です。

コンサートのプログラムを考える時、何を弾こうか、リクエストで頼まれた曲を演奏する時も、 さあどこだ!、毎回まずは譜面探しです。そんな時、 楽譜がポンと出てきてくれたらどんなに楽かといつも思うのですが、、。

まずは一度、全ての楽譜を思い切って引きずり降ろしました。おいおい、突然倒れてきた楽譜の下敷きになりそうになる場面も。 そして私の書斎、廊下は楽譜の山、足の踏み場もない状態に。
1冊ずつ、1曲ずつ確認しながら、 作曲家ごとにまとめ、右から左へと年代順に並べることに。バロック以前、バロック、フランス古典、 古典派、ロマン派、フランス交響楽派、現代作品と。現代作品の中には、日本を代表する作曲家、一柳慧先生、松平頼暁先生、三木稔先生が 私のために書きおろされた手書きの楽譜も。 そして編曲もの、アレンジの譜面。CD録音のためにアレンジしていただいた手書きの楽譜もどっさり。 式典のために作曲、編曲された譜面。様々な場面で音になってきた楽譜であり、 どれもとてもとても「貴重な」楽譜です。
今回、毎年の繁忙期に備え、クリスマスのための曲コーナーも新設♪。

そして下段にはオーケストラとの協奏曲、オケ中でのパート譜。スコア。 委嘱作品などは超巨大なスコアです。
そして、伴奏譜。トランペット、ホルン、サックス、金管アンサンブル、フルート、 ヴァイオリン、チェロ・・と楽器ごと、声楽、コーラスの伴奏譜、、と分類。 それからオルガン連弾(4手4足)の作品。

オルガンのディスポジション(ストップ・リスト)もファイルに。オルガニストにとっては貴重な資料です。 「日本のオルガン」「世界のオルガン」と分類していますが、すでに数冊のファイルに。 そして演奏会のファイル、出演したコンサートのチラシとプログラムを整理したファイルは、楽譜の奥に。 クローゼット内、2段構えです。

音楽家にとって楽譜は宝ものですね。作曲家が残したものを音楽として 再現する、作曲家と演奏家を結ぶ、貴重な資料であり、遺産です。 デジタル化が進み、デジタル書籍などが流通していても、デジタル楽譜は演奏にはありえないでしょう。

左の楽譜は、ドイツロマン派の作曲家、マックス・レーガーの「BACHの名によるファンタジーとフーガ」の ファクシミリです。分厚い和声、fffff(フォルテッシシシシモ)など極端なまでの書法で作品を残したレーガーですが、音符のほかにも赤字で細かで緻密な書き込み、 この自筆譜から、音楽、作品解釈はもちろんお人柄まで偲ばれます。“心”が見え、伝わってきます。 ドイツで卒業演奏の際に演奏した懐かしい曲です。

楽譜に書き込まれた指使い(と足使い、ペダリング)、先生からの教え、セミナーなどで学んだこと、様々な書き込みも貴重です。 さて、この一応整頓された状態がいつまで保てるかは??ですが、今回の大規模な楽譜棚整理で、弾きたい曲、忘れていた曲、 とも対面出来ました。楽譜の中には音楽いっぱい!! それは時代に流されない、普遍的で永久に生き続ける音楽です。 Let's play and enjoy music!!


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