オルガニスト楽屋話

第154話 プーランクのオルガン協奏曲 ---2012.12.2.

20世紀フランスの作曲家、プーランクの『オルガン協奏曲』、正式には「オルガン、弦楽とティンパニーにための協奏曲」。 管楽器の代わりにオルガンを効果的に用い、そこにティンパニーが入り、躍動感があり、お洒落で、時には美しくメラン コリックな旋律も現れ、とにかく格好いい!作品です。




ソロ(独奏)の演奏会はありますが、オーケストラとコンチェルトを弾くという機会はなかなかありませんし、 また自分でつくれるものでもありません。しかも私の一番好きなプーランクの「オルガン・コンチェルト」。

演奏の機会の少ないこの曲ですが、これまでに読売交響楽団と2回、広上淳一さん, 本名徹二さん指揮で日本フィル、 ミッシェル・プラソン氏指揮でドレスデン・フィルと。おそらく、日本人で最も数多く弾いているのが私ではないかと、、。 6回目のプーランク、今回は、金沢の石川県立音楽堂コンサートホールで、オーケストラ・アンサンブル金沢と。




小松空港からタクシーに乗り、途中、日本海の荒々しい海を見ながら40分程で金沢に到着。 久しぶりの金沢、懐かしく思い出いっぱいの風景。




演奏会前日朝8時からまずは一人でレジストレーション(音作り)。
オルガンは、ベルリンのシュッケ製作の4段鍵盤の大きな楽器で、オルガンの扉と譜面台は、美しい漆、輪島塗です。 金沢の伝統工芸を用いた美しいケースは、世界に一つでしょう。




プーランク自身による音色の指示も理想的にかない、レジストレーションも決まり、午後からはオケ合わせ。 オーケストラ・アンサンブル金沢は外国人の団員の方が多いせいか、フレンドリー。私の緊張感もほぐれ、本番へと。

背中向けの演奏なので、指揮者を見る小さなモニター画面と、音のモニターをスタンバイ。 指揮者の渡邊一正さんの素晴らしい音楽、そして見やすい指揮、ティンパニーは私の真下から心地よく、 また時には迫力あるリズムを刻んでくれて、大きな拍手のうちに無事終了。 響きの良いホール、ダイナミックであり繊細なオルガン、そして素晴らしい指揮者とオーケストラの 皆様に支えられ、満足いくプーランクが演奏出来ました。




コンサートの前夜には、今回の演奏会のスポンサーの会社の会長様、社長様ほか10名で、 美味しい加賀料理のお店へ。滅多にいただけないような美味しい懐石料理をご馳走になりました。 蟹の季節、香箱ガニは小さい蟹ですが、味がしまっていて美味しく、大きな加能カニは調理の前に生きた姿で テーブルへ。蓮蒸し、加賀蓮根、かぼちゃに海老のしんじょう、新鮮なお刺身、 鴨の煮物、蟹味噌の炊き込みご飯、、、天狗舞、菊姫など日本酒も美味で、歓談の時を持ちながら、 心ゆくまで美味しい金沢のお味を堪能させていただきました。

いただいたお花は嬉しく、この大きな花束はじめ、聴きにいらしてくださった方からのプレゼント、 スポンサー様からのお土産、ワイン、金沢の和菓子、、持ちきれないほどの荷物で帰途に。 羽田空港に着くと、やれやれ カートがあり、まるで国際線に乗った時のような荷物で、羽田空港駐車場に留めて置いた車へと。




歴史があり伝統を守る金沢で、プーランクの公演、素晴らしい機会を与えていただき、最高に幸せでした。 企画、主催の皆様、お聴きいただきました皆様、どうもありがとうございました。 金沢へまた行きたいです、 そしてまたプーランクを弾きたいです♪!!そんな機会を夢見ながら、お疲れ様!と コンチェルトの楽譜を本棚に戻しました。

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