オルガニスト楽屋話

第197話 アンコール・ワットへの旅 ---2016.4.17.

アジアへ1週間の旅。知人や友人達から「珍しい〜!」と。確かに私とって珍しいアジアへの旅でした。 カンボジア入国のヴィザを取得し、アンコール・ワットへ。 羽田からホーチミンまで5時間50分、飛行機を乗り継ぎシェムリアップへさらに1時間20分、ここがアンコール・ワットへの 最寄りの空港です。

11世紀初頭に建てられた仏教、ヒンズー教の神殿や寺院の遺跡が広大な地域に残されています。 その代表的な遺跡がアンコールワット。
朝4時半に起床し、あたりは真っ暗ですから懐中電灯で足元を照らしながら、西参道正面入口へ。 5本の塔の間から昇る太陽、ピンク色に空が染まる中、ドラマチックな夜明け、サンライズを見ることが出来ました。 何百年、何千年と繰り返された瞬間ですね。春分の日には大聖堂の塔の中央から太陽が昇るという緻密な計算にもびっくり。

遺跡の大きな壁が繊細で緻密で美しい彫刻で埋め尽くされ、まるで大きな絵巻物。 800〜1100年頃のヒンズー教のレリーフは、雄大で神々しく、精緻で優美であり、アンコール朝の王朝の信仰深さを知ります。 穏やかな微笑みをたたえた菩薩像、上質な赤い砂岩にヒンズー教の神話を用いた彫刻、残された神秘的な小寺院。 35度、日陰のない炎天下の中を1日2万歩歩いての見学はハードでしたが、 壮大なスケールの中に存在する、精緻で優雅な美しさに何度も息を呑みました。 この世界的な文化遺産を、専門家のみならず欧米からも多くの人が訪れる理由もよくわかりました。

ベトナム料理、タイ料理、中国料理にも似て、香辛料がききスパイシーなお食事は私好みであり、 ライスとフォー、パンも美味しく楽しめました。お買い物は品物に値段が付いていません、値段交渉です。 オールドマーケットで値段交渉し、刺繍の可愛いポーチ、バッグの民芸品、コースターや植物の実で出来ているブレスレット、 香辛料などのお買い物。

両手を合わせて丁寧に挨拶するカンボジアの女性の姿は美しく、 人々の素朴な暖かさも感じました。

アンコール・ワットに3日滞在の後、お隣の国ベトナムにも立ち寄りました。
ハノイ、出来たばかり空港は羽田や成田空港よりも立派かもしれません。アオザイを着る女性達、みな素敵に着こなしていました。 スチュワーデス、学校やお店の制服にも・・おしゃれです。若い女性は、下に細身の白いパンツを合わせて可愛く着こなし、 よく似合っていました。
街はおびただしい数のバイクが、車と交錯しながら走ります。よく事故に合わないと感心するほど。 バイクは荷物も乗せて。驚くのは小さなバイクに4人乗り、家族全員で乗っていたり、鳥や豚の生肉をそのまま乗せて いたり、家具などの大きな荷物を乗せていたり、信じられないような光景でした。
その道を歩いて横断するのですから、絶句です。 「走ってはいけない、ゆっくり止まりながら歩く」のが鉄則だそうで、街歩きの途中、何度か横断しなければならない状況になり 道を渡りましたが、それは恐ろしかったです。

朝から夜遅くまで屋台で食事をしている人でいっぱい。「COM (米飯)」はレストランの意味、「PHO」はフォーを食べさせる店、 この看板がよく目に付きました。聞くところによるとベトナムでは三食外食する人も多いそうです。 旧市街の職人街、少し御徒町のアメ横にも似た、人々の生活の匂いのする市場も歩いてみました。

そして明るく近代的な街、ホーチミンへ。飛行機で2時間半ですが、列車だと植民地時代からの 古い線路で2日もかかると。南北に長く、気候も2つの都市、全く違いました。 英語はなかなか通じない中、ここでも値段交渉をしての買い物でした。

オルガンを弾いている私にとって、旅というとオルガンがらみの旅がほとんど。 オルガンがあるのは教会であり、教会といえばキリスト教国、そしてヨーロッパ。 ヒンズー教や仏教国は未知の世界であり、近くても遠い国々でした。 近いアジアにこんな素晴らしい文化遺産が残されていたのですね、 ヒンズー教や仏教が残した素晴らしい芸術、文化に接することが出来、普段とは違う休暇の旅となりました。

旅の写真を写真の ページにアップしましたので合わせてご覧ください。


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