オルガニスト楽屋話

第202話 長い夏も過ぎ ---2016.10.9.

10月に入っても30度を超えるような夏日もあり、今年はとりわけ長い夏でした。皆様方にとっては、どんな夏でしたでしょうか。 ドイツから戻ってから5日間は東京で過ごし、留守中に溜まっていた用事を急いで片付け、 スーツケースの中を少し入れ替えて北海道ニセコへ。 避暑のため夏を北海道で過ごす母を迎えに、、という理由なのですが、8月後半、約2週間残りの夏を静養かねて私もニセコで過ごしてきました。

右の写真は富士山にも良く似た美しいフォルムの羊蹄山、この山を眺めての毎日。 写真は蕎麦畑ですが、羊蹄山麓には蕎麦、お米、とうもろこしの畑が続いています。またこの地方はメロンやスイカの産地。 近隣農家から朝摘みのトマト、きゅうり、ブロッコリー、ズッキーニなど低農薬のお野菜、酪農家からのミルクや卵、 海にも近く新鮮な海の幸も。お水は羊蹄山の湧水を汲みに行き、コンドミニアムで自炊生活、 時間があればドライブ、そしてトレッキング。東京や札幌からも友人達が訪ねてくれて、 北海道の爽やかな空気と大自然の中で楽しく過ごしたニセコ・ステイでした。

山の中を歩き、1時間誰にも会わなかったり、山道を20キロ走って対向車が一台もないと心配になる私はやっぱり都会人ですね。 今回レンタカーで1700キロ走りましたが、北海道の広大さを痛感。一番のロングドライブで訪ねたのは大沼公園(下の写真です)。空の青さと 透き通った湖面の美しさに感動。

約1ヶ月、東京の盛夏からは離れていましたが、東京へ戻ってしばらくしてからの暑さは長く、厳しいものでした。とりわけ オルガンの練習には暑かったですね〜。礼拝堂や講堂のオルガン、高い所にあるオルガンも多く、冷房を入れてもなかなか効かず。 全身を使って弾くオルガン、こうした環境で日々練習しなくてはならないオルガニストには暑い夏だったと思います。

そんな中、我が家の冷蔵庫が突然ダウン〜。冷凍庫の冷えが悪くなったと異変に気づき、冷凍庫だけの故障かな、、と。 そんな訳ありませんよね、暑い夏に冷蔵庫が壊れるという大ピンチ!!慌てて家電量販店に飛び込み、翌日に届くという 冷蔵庫を購入。どんどん溶けてくる〜、、元々冷凍食品は食べないし冷凍庫にはないのですが、それでも冷凍庫で保存していた食品は全て 食べきらなくてはならないことに。そして 冷蔵庫の中も大整理です。生ものはもちろん、入っていた食材をとにかく使ってしまわなければと、あの日何品作ったでしょうか、 一日お料理し続けました(笑)。この暑い最中に突然舞い込んだ予想外のパニック。

ようやく暑い夏も終わり、季節はゆっくりと秋へ。来月19日は宝塚教会で、創立60周年、オルガン奉献10年の記念演奏会で演奏 させていただきます。10年前、恩師サットマリー先生が演奏しお披露目されたオルガン、留学していた フライブルクに近い街で製作された(イエガー&ブロンマー)オルガンです。南ドイツのオルガンの音色にまた出会えます。 そして12月9日は 浜松アクトシティで、 トリオ・ティエポロのメンバーと、 12月18日は名古屋、愛知県芸術劇場でソロコンサート、 今年は東海地方での演奏会が続きます。お近くの方がいらっしゃいましたら、お聴きいただければ幸いです。

練習に持っていくカバンの中はこれから演奏会や礼拝で弾く曲でぎっしり。ほとんどコピーしているにもかかわらず、車から オルガンの所まで持っていくのがやっと。日頃の筋トレで鍛えた腕で頑張っております。 講座のお弟子さん達は、「夏は暑くて練習出来なかった」・・確かに日本の夏、少し理解出来ます。「夏は家族が家にいて練習出来なかった」・・ ??!(言葉ない私)。家族のために練習出来ない、、ドキッ!私は経験したことのないこと、しかも半世紀近くそんな気持ちを持ったことすら ない私。何があっても練習時間は練習時間、自分の生活の中で最優先する時間。家中、音だらけ。難しい箇所の反復練習、、 騒音に違いない。家族には迷惑かけているのだろう、と生徒さんの小さな発言から気づかされる私でした。

与えられたことに、無限の時間とエネルギーが費やす演奏家の生活。出来る限りの時間を捧げたいと思うと、そのほかの時間は 極力短く。買い物も家事も超スピーディに。練習と体のメンテに時間を費い、そして練習や演奏に集中出来るよう、充分な睡眠、 規則正しい生活、体に良いものを摂り、まるでアスリート選手のような生活かなと(笑)。
練習の合間に窓を開けると、す〜っと心地よい風が入ってきます。ようやく訪れる秋、新しい季節を楽しみ精進して いきたいと思っています♪


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