オルガニスト楽屋話

第203話 クリスマスを前に・・ ---2016.12.24.

11月19日には宝塚教会で、創立60周年、オルガン奉献10周年の記念コンサートで演奏させていただきました。 留学時代を過ごしたフライブルクからも近いシュバルツバルトの中に工房を持つイエガー&ブロンマー製作のオルガン、 恩師サットマリー先生が監修された楽器でもあり、南ドイツ特有の暖かい響きのするオルガン。
この日のためにドイツから来日してくださったイエガー氏(写真)。コンサート前に出来る限りの時間をオルガンの メンテナンスに充てたいと思うイエガー氏と、出来る限りの時間をリハーサルに充てたいと思う私とで時間を取り合い& 譲り合い(笑)で迎えた本番。開演の時間になると会場の礼拝堂は満席になり、リハーサル時と大きく変わり、想定以上のデッドな響きに。
しかしながら、弾き心地の良いオルガン、暖かい聴衆の皆様に助けられ、無事終了♪(右の写真は演奏会後に・・)

設置されて10年経った宝塚教会のオルガンですが、礼拝では神様を高らかに讃美し、また演奏会でも用いられ、そして何よりも 毎日教会のオルガニストによって弾かれているというこの楽器。状態も安定し良く、オルガンを囲む方々に 愛され親しまれている幸せなオルガンだと思いました。

演奏会のためにご尽力くださった牧師先生はじめ、暖かく迎えてくださった教会員の皆様、 神戸女学院時代にお世話になった先生、聴きに来てくれたお弟子さん達との再会・・とても嬉しい久しぶりの関西でした。

そしてその翌日はアドヴェント(待降節)、教会礼拝で奏楽し、早いもので今年もクリスマスを迎える準備の期間に突入。 Nun komm・・・(いざ来ませ、救い主)の美しい作品を弾ける季節に。この季節しか弾けない音楽です。
お手作りのとても素敵なクリスマス・リース、卓上に飾るオーナメントをいただき、 フレッシュなグリーンと真っ赤な赤い実のコントラストが美しいリース、そしてその香りに満たされる我が家。

そこで、、香りの良い生木に魅せられた私は、毎年クリスマスツリーを飾っていますが、今年は本物のもみの木を飾ろう!と思い立ち、 毎年もみの木を店先に置いている田園調布のお花屋さんへ。ずらっと並んだもみの木、、あった、あったと思いきやどれも「売約済み」の札。 全て完売だというのです。 もみの木の市はすでに終わっていて、もう今年は入荷しないと言う花屋のおじさん。「来年は10月に予約された方が、、」。
帰宅しネットで調べてみると、IKEAで本物のもみの木を販売するという。発売初日の朝にIKEAへ。冷たい雨の降る寒い朝、こんな日に 来る人はいるのかしら、、と思いながらお店へ。 ところが驚いたことに、開店前というのに駐車場は相当数の車。店内へ入るとトグロを巻いて長蛇の列、、え、並ぶの〜。
こんなことをしている余裕があるのか、、私!!

並びました。そして北欧から送られて来たもみの木でしょうか、山積みにされたもみの木の山から、気に入った高さ、 枝ぶりのもみの木を探し(持って行った軍手があって良かった)、私の背丈ほどの生木のツリーをゲット!

再び縄で縛り、新聞紙で包み(←結構大変)、 車で自宅に持ち帰り、まずは水揚げを良くするために木の先をカット(湿った木は硬い、、)、生木を水が入る専用のスタンドに立てました。 下に水が入り、生ける形になるのです。そして練習から戻った夜に飾り付け。今年は例年にはないツリーが完成しました。

各地で求めたクリッペを飾り、家中、クリスマス・グッズで飾られた中、クリスマスコンサートの練習、気分良いです。
夜はキャンドルを灯し、ワインを飲み、毎日がクリスマス気分。暖かにしてこれから迎える繁忙期のエネルギーもチャージ。 風邪をひいてもいけないし、時間もないしで、外でクリスマス気分を楽しむ時間もない私ですので、まあこの位、楽しまないと!

そしてコンサートシーズン開幕。12月9日は浜松アクトシティで、 ティエポロ・トリオのクリスマスコンサート。 浜松駅に隣接するアクトシティはいつも新幹線から見ていたものの、ホールは初めて。響きの良いホール、 日本にはここにしかないフランス、コアランのオルガン。とりわけステージの上にある演奏台の弾き心地が良く、 ソロはバルコニーにある本体の演奏台で、ソプラノの砂川涼子さん、トランペットのクリストフォリさんとの合わせはステージ の上で演奏しました。ホールの形状やオルガンのことは、現地に行ってわかることも多く、音楽的な考慮から編成や曲順を変更したり、、 午後1時から始まったリハーサル、終わったのは夜の10時でした。隣接するホテルに宿泊し、43階の部屋から浜松の夜景を見ての 浜松ステイでした。

美しいソプラノとトランペットの音色に魅了されながらの演奏、トリオとして同じメンバーで演奏会を重ねる度に、 お互いの掛け合い、やりとりも楽しみながら、音楽的にもさらに高められたものが創られていき、 会場の皆様に楽しんでいただきたいのは当然ですが、私自身も音楽する喜びに溢れたコンサートとなりました♪
演奏会が終わってもお二人との美しい響きが、ややしばらく私の中に響いていました。
(終演後、3人で写真を撮りたかったのですが、新幹線の時刻が迫っており、3人のショットはありません。)

音楽が、そしてオルガンが、最も似合う季節。日の暮れる時間も早くなり、寒い夜に明るく暖かいキャンドルの光、そして もみの木とリースのフレッシュ・グリーン・・に囲まれて、忙しい中にも満たされた思いでこの季節を迎えています。
部屋に飾っていますアドヴェントカレンダーもあと10日になりました。

どうぞ皆様も明るく喜びに満ちた良いクリスマスをお迎えください。I wish you a merry Christmas!!


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