オルガニスト楽屋話

第220話 アドヴェントとクリスマスコンサート ---2018.12.19.

12月に入り、お花屋さんにポインセチアが並び、クリスマスのイルミネーションが灯るようになると、今年も来たな!この季節、、と緊張感高まります。 今年はいつまでも暖かくポカポカ陽気の12月初めでしたが、急に冷たい真冬並みの寒気が入ってきて、冬本番が到来。このように寒暖の差が激しい中、 演奏会に向けての練習もですが、演奏家はみな同じと思います、健康管理にも気を使う、というか、怪我をしてはいけない、風邪、 病気になってはいけない、食事に、また部屋の乾燥などなど、、、、色んなことに普段より神経質になります。

実は今年は、移動なども含め超過密スケジュール、こんなスケジュールこなせるの?大丈夫、私?、、というような日が何日かありました。 演奏会、そのリハーサルのスケジュールの中に、私の企画の演奏会あり、教会の礼拝奏楽あり、それに飛び込みの取材が入ったり、、 スケジュール帳を見ては、この日は大変だ!と数ヶ月前から覚悟を決めていた日です。

いま、その心配した超過密スケジュールの日程を、何とか無事終えることが出来、ほっと安堵しているところです。

さて今月は、12月7日にアドヴェント・コンサート、そして15日にクリスマスコンサートと2つの演奏会が続きました。 アドヴェント(クリスマス前の4週間、キリストの誕生を待つ待降節)には、東京、富士見町教会で。 そしてクリスマスコンサートは名古屋、愛知芸術劇場コンサートホールで。どちらも大きなドイツのオルガンです。

富士見町教会は、東京の都心、飯田橋の駅前に建つ教会。数年前に再開発で少し場所が移り、新しく立派な会堂に、 日本の教会の楽器としては大規模な、3段鍵盤とペダルのオルガンがあります。この教会の何でも整い、贅沢な設備には驚くことばかり、 施設もそして教会の皆様のお力添えも素晴らしかったです。
左の写真は演奏前に、2階バルコニーの演奏台で。
右の写真は演奏会後、礼拝堂階下で。演奏前の前方でのトークの時だけ、ブルーのファーを付けました。

多くの人が行き交う立地もあってか、会堂いっぱいのお客様に。演奏に涙してくださった方も いたそうで、心に響く演奏が出来たのだったら良かったなと、私も感無量。

富士見町教会でのリハーサルと本番の合間に、名古屋へも一度リハーサルに行きました。2つのオルガンのリハーサルを同時期に・・コンビネーションの番号など 楽譜への書き込みも、どちらのオルガンか、、混乱状態。かなり大変なことになっていました。

演奏曲目も、2つの演奏会、一部は同じ曲を弾きましたが、富士見町教会からは「編曲ものはNG、オルガン作品でお願いします」と。 名古屋の主催者からは「出来るだけ編曲ものを沢山弾いてください」・・と。どちらのご希望も理解でき、これまた大変でした。

ステップ(オルガンに事前に音色を決め記憶させたコンビネーションを先送りする演奏補助装置)が、富士見町教会は 足元スウェルペダルの左に、一方愛知芸術劇場は右に 、、と、アシスタントなしで演奏する私は、楽器ごとに違う操作を 自然に体が動くように体が覚えなくてはいけないし、2つの楽器を交錯して弾くのも大変でした。

富士見町教会での演奏会の翌週は愛知芸術劇場で、中京テレビの主催公演でソロリサイタル、タイトルは「アヴェ・マリア・クリスマスコンサート」、 素敵なキャッチフレーズのコンサート。アヴェ・マリアを4曲、そしてバッハやロマン派、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」に「ホワイト・クリスマス」といったクリスマスの名曲も演奏しました。
このホール、開館してから25年、開館当初もお披露目ガラコンサートやソロコンサートで演奏させていただきましたが、今回1年半、 閉館し、大規模な修理をしたそうです。オルガンも全てのパイプを外し大々的なメンテナンスをし、新しいコンビネーションのシステムに替わり、 また一つカプラーも増えました。こうしたリニューアル・オープン後、最初のオルガン・コンサートということもあったのでしょうか、会場は3階席までお客様でいっぱいに。 ここでも大勢の皆様にお聴きいただけ幸せでした。

83ストップ、まさに日本最大のオルガン。音色を選ぶレジストレーションの時間はいくらあっても足りないほど。 いただいた時間を最大限、使い、Glockenspiel鉄琴、Cimbelstern 鈴の音、そして32フィートの重低音など、、 他の楽器にない音色、またこのオルガンの可能性を最大限お聴きいただけるよう、出来る限りの工夫をしました。

とはいえギリギリのリハーサル時間で、5段鍵盤、さてどの鍵盤だったかな、2つのスウェルペダル(音量を変化させるペダル)の操作を、本番でも瞬間迷ったり、、 大オルガンでの効果は嬉しく楽しいですが、なかなかスリリングでした。

衣装にファーを付けてみたり、ファーの付け方を替えてみたり、同じ衣装でも少しアレンジしたり。お裁縫もしました(笑)。 イヤリングを選んだり、衣装に合ったヘア・スタイルを考えたり、今回ステージの上での演奏の時は光るブレスレットも付けてみました。 女性ならば皆同じかもしれませんが、色々考えるのも楽しく大好きです。

最近のお気に入りの、もこもこ・ヘア。名古屋ではホール近くの美容室をウェッブで探し、リハーサルの日に事前に下見。 朝8時から予約を受け付けてくれ、ホールにも徒歩5分と好都合。お気に入りのハーフアップにしていただきました。

プログラムの前半は、オルガン本体、正面上の演奏台で、衣装は白のスパンコール。休憩後の後半は、ステージの上の演奏台に移り、 黒のアルマーニのスパンコールの衣装で・・演奏しました。

初おろしの「くるみ割り人形」も大オルガンの効果も発揮出来、好評だった様子。夏の暑い頃から考え、 準備した演奏会も終わり、あとはクリスマス礼拝、今年最後の日曜日の歳晩礼拝、そして元旦礼拝、思いがけずご葬儀も飛び込み、、 まだまだ年内のスケジュールは続きますが、オルガニストにとってのハイシーズン、オルガンと共に、また会場でお聴きくださいました皆様と、 幸せな余韻に包まれての2019年クリスマスです。皆様方も、どうぞ良いクリスマスをお迎えください。Merry Christmas!!





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