オルガニスト楽屋話

第226話 プチ・フィンランド生活 ---2019.8.17.

3回目のフィンランド、これまではホテルに泊まっていたのですが、21泊のうちホテル宿泊は5日のみ、 これはホテルの方がbetter 思える5日であり、あとの17日はアパートメントに滞在しました。 クオピオに2泊、トゥルクに5泊、ヘルシンキに10泊、音楽祭の主催者から提供されるホテルを、 「アパートメントに滞在しても良いですか」と尋ねる私・・。アパートメントの良さは、ホテルより部屋が広く落ち着くこと、 キッチン付きでの自炊は好きなものを好きな量、食べることが出来、これはお腹にも優しいし、洗濯機は長旅には有難い。 招聘先に尋ねてみると、宿泊代として払ってくれると、、自力でアパートメントを探し、宿泊しました。マーケットや市場で、 食材を探す、買う、、異国の生活を身近に感じられるのも楽しいのです。
(右の写真は、ヘルシンキの市場で。旬のキノコ、苺もお甘くて絶品。)

今回、有難かったのが、まずどこの国よりも「水」が良かったです。ヨーロッパの他の国では経験なかったです。 ピュアな水で、もちろんミネラルウォーターなど必要なく、水道水が美味しく飲め、またキッチンでも冷たく、 シャワーの下でもフワフワ!!肌はすべすべ、髪もつやつやに。

それからお魚が豊富なこと。新鮮なお魚、お肉が手に入りました。野菜、果物、乳製品、パン、とても美味しく、 自然なのです。添加物やケミカルなものではなく、原材料や素材にこだわった食品ばかりでした。買ってきたサラダの葉を開けたら、 根付きどころか鉢に入っていて驚いたことも(一番下の写真)。ハーブも豊富で、特にディルは重宝しました。

特にサーモンが種類も多く、美味しく、その他、タラなどの白身魚やエビが美味しかったです。(簡単な手料理ですが、左の写真)。魚屋さんによっては、 希望によって塩、コショー、にディルをふりかけ、さらにはレモンもおろしスライスしてくれます。そして綺麗にパッキング。 包装紙など、全てものが、デザイン的にも綺麗でお洒落なのです。

デザインと言えば、もちろんヘルシンキの街は、マリメッコやiittlaはじめ、素敵なお店がいっぱいでしたが、生活の随所にシンプルで綺麗でお洒落感が満載!

今回、さらに自炊生活の楽しさを倍増させてのが、キッチン。こんなキッチンが欲しい!と思うような快適さ。 IKEA家具やキッチンを想像してくださればですが、これはアメリカ(ハワイ)以上でして、大きなシステムキッチンなのですが、 くるくる周るお鍋の収納庫、洗った食器の収納棚(これまで見たことがないです)、まな板がシステムキッチンの中に入っていたり (これも、初めて)、ゴミ箱もしっかり3通りの分別ごみ箱になってシステムキッチンの中に。外には何も出ず、全てが綺麗に収納。

そして次の公演の地、トゥルクへ。主催者からタクシーで移動するように言われタクシーで30分、この移動は楽だったのですが、 ヨーロッパ諸国にアフリカからの熱風が流れ高温になった翌日、ここトゥルクでも32度まで。プールへ朝に夜にと行ってしまいました。 水質、設備、経験のないような感動の50メートルプールでして、半分から深さ8メートル、体が浮き、そしてフィンランドの水は良いので、 水質も良く、青空の下で、クーリングとリフレッシュ。ロッカールームやシャワーの設備は、これまで行った海外のプールの中でも最高のプールでした。

さらに、これはトゥルクのアパートメントでしたが、ベッドルーム、リビングルームそしてダイニングルームに加え、 ガラスで囲まれた温室風の大きなバルコニーが付き、そしてサウナまで!!フィンランドの家事情も知りました。

サウナもあって驚くのですが、バスタブはなく、シャワーのみです。サウナで汗をかき、シャワーで汗を流すのが習慣のようですね

フィンランド語はとても難しいですし、フィンランド語のみの表記の所が多かったです。文字表記もaaとかiiとか 、同じ文字が続いたり、覚えにくく、その上、フィンランド語とスウェーデン語の(全然違う)2か国語表記、バス停など混乱します。 けれども、英語がよく通じます。誰もが、英語で話してくれます。
テレビがアメリカ、イギリスの番組にフィンランド語の字幕を載せている番組が多いせいかもしれません。

そしてとにかく「静か」です。フィンランド人は静かです、大勢の人がいても、誰も居ないかのよう。電車の中も静寂。どこでも周りに気づかい 、小声で必要なことだけ話しています。 車内のアナウンスもなし、電光掲示板に出ます、アナウンスは最低限必要なことだけ。駅のアナウンスもなし、もちろん日本のような音楽もなし。 様々な場での(レストラン、デパートなど)BGMもないです。テレビのスポーツ番組も、実況中継の言葉なし。
この静寂さに慣れたせいか、日本に戻り、様々な音が煩いな、と感じた私でした。

さらには、街からバスや電車で30分も乗れば、首都のヘルシンキでさえ、森や湖の自然の中に入ります。森はクリスマスツリー、 つまり樅ノ木でいっぱいなのですが、そこはもっと静寂の世界です!

さて、生活に戻りますが、、、ゴミは細かく分け、ゴミ捨て場には詳細にゴミの種類が明記されたタンクが並んでいます。日本と違うのは、 分別のなかに、Bioのゴミも分別しています。自然エネルギーのことも考えているのですね。

バスはVOLVO で、驚くほど定刻に走るのですが、暑い日もエアコンが効き快適。エアコンを使う日などほんの僅かだと思うのですが、 ドイツのバスではエアコンが効かず、苦しいほどの暑さだったことを思い出しました。

教会のオルガンの裏にトイレがあるのには驚きました。教会のトイレ、外だったり、あるいは司祭さんが使う教会内の前方 (つまりオルガンとは一番遠い所、しかも電気などわからない、、で困ることが多い)のが常ですが、なんとオルガンバルコニーに!それだけではなく、 オルガニストの書斎?(個室)もあるのです。
ヘルシンキのカテドラルでは、オルガンの後ろに、パソコン、印刷機、デスク、応接セットまで完備したお部屋が。屋根裏部屋ではありますが、 立派な2部屋でした。何とも羨ましい。

プールへも行きました。日常的に泳いでいる私にとって、水泳は体のコンディション調整に、またリフレッシュでもあり不可欠。 昨年の演奏旅行中、失敗したこともあり、今回は水着を持参。まずはトゥルクのプールへ。感動の屋外、50Mプール。入ってみると、 半分は水深8Mに。残りの半分も足は立たない深さ。朝6時から夜10時までオープンという、流石、白夜の国。足が立たないのに、 水の中を歩いてる風のおばさまが多数。ムーミンのようなおばさま方、そして海で慣れているのでしょうか、みな、立ち歩き泳ぎ? (日本では見たことがない)が出来るのですね、よく見ると中には、腰に浮き輪のようなものを巻き付けている人もいましたが。 入場料を支払うとくれる、腕に巻くバンドをくれて、これでタッチし入場。ロッカーキーもこれでオープンし、鍵がかかる。 広いロッカールームに、お湯もしっかり出るシャワー施設が完備、何でも機能的で合理的で進んでいる、多分私が経験した中で、世界一のプールでした。

ヘルシンキでは「シ-・プール」・・海に浮かびプールへ。アパートメントから徒歩5分。そこには3つのプールがあるのですが、 名前の通り、一つは海水のプール。海水を濾過しているそうですが、残念ながら水温18度、フィンランド人は泳いでいましたが、 私は足先をつけただけで震え上がる冷たさでした。ほか2つは水温28度のプール。いつも泳いでいるジムのプールは30度あるのですから、 冷たいです。しかしながら、サウナで暖まり、プールへ飛び込みリフレッシュ・・これがフィンランド式のプールの入り方で、これも初体験。

白夜の国。夜11時まで明るく、朝は4時ごろ明るくなっていました。眠れるかな、という心配もありましたが、意外に眠れるのですね。 快晴続きでしたが、気温も日中一番気温が上がっても20〜25度、朝は10度以下になることも多々、コートが必要な日も多く、 セーターとスカーフは手放せない気温でした。

写真右上はヘルシンキのストックマン。地下の食材売り場が気に入り、毎日行きました。
美味しい銘柄のヨーグルト、絶品のアイスクリーム、美味しい食材が手に入る場所、、慣れてきたなと思う頃、帰らなくてはなりませんでしたが、 今回のステイが楽しめたこと、その最大の理由は、優しいフィンランド人、心豊かでみな親切、その親切心を受ける方も自然に親切&微笑みになりますよね、 人のあるいは都会の?ギスギス感というのでしょうか、そうしたことを一度も経験しなかったフィンランドです。安全でもありました。

「天国に近い国」、「世界で一番住みやすい国」・・実感した今回のフィンランド・プチ生活でした。

今回訪れた街のオルガン、教会、風景を写真の ページにアップしましたので合わせてご覧いただけましたら嬉しいです。





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