第229話 大森めぐみ教会、新礼拝堂&オルガン完成 ---2020.2.9.
昨年11月末に大森めぐみ教会、八角形の新しい礼拝堂が完成。5年の間、礼拝を守っていた会館ホールからお引越し。その間、オルガンはガルニエの3ストップの ポジティフ・オルガンを使っていました。最初は手鍵盤のみ、その後、ペダル付き・ポジティフをレンタルでお借りして。 クリスマス近くになり、オルガンの組み立ては終わり、パイプも入り、見た目は完成、教会員の方も「完成したわね!」と。いえいえ、 正確にはまだ未完成。新しい会堂の響きに合わせて、パイプ1本、1本の調律をするという、最も重要な整音作業が残っていました。 整音途中で迎えたクリスマスでしたが、私が弾いたクリスマスイヴ礼拝は、大人とこども合わせて330名(右下の写真)。教会は補助椅子も総出、バルコニーにまで人が座り、 溢れんばかりの人でいっぱいに。オルガンは、主の降誕を祝う讃美の歌声を力強く支え、会堂に集まった方々も、そして私も 喜び一杯のクリスマスとなりました☆彡。 余談ですが、その間、昼間はガルニエによる整音作業。オルガニストがオルガンを弾けるのは早朝か深夜でしたが、 完成まであと少し!と、早朝に深夜にと教会へ。
さて、元旦礼拝の前奏に選んだのは華やかで式典的なバッハの前奏曲変ホ長調。フライブルク卒業試験、そして神戸女学院大学講師のオーディションで
弾いた曲・・私の人生の大切な節目に弾いた曲です。クリスマス疲れもある中、そんな大曲にまた向かった私。 さて、めぐみ教会のオルガンは、1970年シュヴェンケーデルによって製作(整音はシュタインメッツ)完成した、フランスバロック様式のオルガンで、 当時日本に初めて入ったフランス製のオルガンでした。2段鍵盤とペダル、18ストップ。木造の旧礼拝堂でもとても 美しく歌う楽器でしたが、解体され、礼拝堂建設の4年半、教会内の倉庫で大切に保管されていました。 昨年夏に倉庫から忍野にあるガルニエの工房へ運ばれ、古く傷んだ部分は修復され、そして11月になって完成した新礼拝堂へ再び 運び込まれ、一部は礼拝堂内での作業で修理され、12月半ば、組み立て完了。一応、音は出るようになったものの、 整音未完のままでクリスマスを迎え、 マルク・ガルニエ氏による整音が終わったのは1月15日。以前のような美しい響きの礼拝堂になればと願う中、 完成したのは残響3秒、人が入って2秒という、以前より豊かな響きの礼拝堂。そしてマルク・ガルニエの手により、新会堂の響きに合った音に再整音、そして より一層美しく鳴るオルガンとなって復元されました(良かった&涙・・)。5年ぶりにオルガンと再会です。
良い状態で保管されていたけれども、50年の年月が経ち、しかも湿度の高い日本なので、腐食した錆は落とし、 皮やフエルトは新しいものに替え、風箱(要するにオルガンの肺です)は風が漏れる場所があり塞いだとのこと。 丁寧で職人芸溢れる修復をしてくださいました。最も重要な整音に関しては、最初につくった製作者の意思を尊重したとのこと。 「“シュヴェンケーデル-ガルニエ・オルガン”になりますね」、という質問には、「いえいえ、0%ガルニエです」と(笑)。 最初の製作者のコンセプトを守って整音したとのことでした。 音色を紹介しつつ、このオルガンの笛の特徴や、調整した音のバランスなどの説明しながらのマルク・ガルニエのデモンストレーションは、 楽器の魅力を引き出す素晴らしいものでした。 今後は3月22日に献堂式(ここでは私はバッハを1曲)、4月19日に「オルガン講座」と題し、オルガンの音色についての お話(馬淵久夫先生)、そして演奏、その後は、6月、10月、そして12月13日は「クリスマス・コンサート」(←私の演奏♪)を 企画予定しています。 響きの良い礼拝堂に美しいオルガンが完成、大きな喜びの中、私もスイッチ・オン!!この蘇った大森めぐみ教会のシュヴェンケーデル・オルガンの音色を 聴きに、機会がありましたら是非お運びいただけましたら幸いです。
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