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オルガニスト楽屋話

第253話  ドイツ演奏旅行記(その1) ---2023.7.7.

ようやく出入国の規制もなくなり、3年半ぶりの渡欧。渡欧どころか3年半ぶりに東京から出ました。2週間の旅から、一昨日帰国しました。
荷物は倍増!日本にはお土産の習慣がありますが、欧米にはない。しかしながら、別れの時に、友人たちはプレゼントをくださるのです。 それが、ワイン、本、大きなガラス製品、、などなど(持ち帰ること、旅の途中であることは一切気にしていない、、)、 とても嬉しいのですが、訪れた場所、場所でいただいたので、大荷物に。今回は演奏の他に、38年ぶりに会う友人はじめ、色々な 再会もあり、楽しかった思い出いっぱいに帰国しましたが、荷物も大変ことに。さらには、最終日、チーズやハム類、また香辛料やチョコレートなどなど、 持ち帰りたいものを買い込んだもので、空港の測りに載せたら荷物は35キロ!超過料金を心配しましたが、有難きスーパーフライヤーズ・カード、それは免れ、、。

今回はドイツ2か所での演奏会、久しぶりの旅、荷づくりにも時間がかかり。 緊張して空港へ。搭乗チェックイン、出国審査、荷物検査、全てコロナ前と随分変わっていた、自動化されスムースに。 今回、ロシアの上空は飛べないため、別の空路、中国上空を飛んだようで、14時間半の長時間フライト。

フランクフルト空港は落雷で、真っ黒な雲の中に入り飛行機は揺れ、また空港の電気系統が全てストップ、というアクシデントの中の到着となり出国まで1時間。 待つことには慣れなくては、、早速でした。
一つ目の演奏会の主催者でありオルガンビルダーの友人、フロイゲルスさん夫妻が迎えに来てくれていました。 いきなりアウトバーンを電気自動車で150キロ走行、ドイツに来たな、と実感。約1時間でマイン川沿いのミルテンブルクという木組みの歴史的建物が立ち並ぶ、美しい街に到着。 中央広場からも近すぐの所(商店街)にある彼らの地下1階、地上3階建ての家は、450年前に建てられた建物で、昨年購入し、綺麗に修復し、 今年完成したというお家に到着。「さあ、このお部屋をご自由に使ってください。鍵もお渡しします」と。
(一番下の写真が、ミルテンベルクの中央広場。右端に教会の壁が見えますが、広場と教会の壁の後ろの家が、フロイゲルスさん宅です。)

そしてまずは典型的なドイツの夕食・・ハム、チーズ、ドイツパン、サラダ、そしてスパークリング・・で歓迎され、 そして綺麗なお部屋に4日間、滞在させていただきました。
彼らとは留学時代からの友人、あの頃、小さかった息子さんのヨハネスも、可愛い二人の女の子のお父さんに。フロイゲルス・オルガンの社長さん、立派に成長し、 オルガン製作に忙しくしていました。

ミルテンベルクがあまりに綺麗で可愛い街なので、リハーサルの合間に、街を散策したり、お城へ登ったり、家族みなで食事に行ったり、 ドライブしアイスクリームを食べに行ったり、マイン川辺に沈む夕日を見たり、気候も暑くもなく寒くもなく快適、時差ボケを解消しつつ、演奏会までの時間を過ごしました。

演奏会は隣町、ハルトハイムの中心にある教会で。オルガンはフロイゲルス・オルガン(3段鍵盤とペダル、48ストップ) 。残響も長く、とても弾きやすい楽器で、魚が水に返った感じ、楽しみました。 「Wind von Osten」(東からの風)というテーマで演奏を頼まれたので、邦人作品、日本歌曲の編曲、ハンガリーのバルトークも入れてのプログラム、日本を意識し、母の帯を直した衣装で演奏。 演奏前に挨拶をするように言われ、困った、、与えていただいた機会に感謝をと思い、拙いドイツ語で挨拶し、演奏へ。 演奏会後は、スタンディング・オベーション、暖かい拍手をいただきました。演奏も、それから挨拶も良かった、と(-_-;)こうして一公演目は無事終わり、 ドイツで一番古いと言われている(そうしたホテルがフライブルクにもありますが、、)ミルテンブルクのホテルRiesenのレストランで、美味しいドイツ料理と地元のビールで乾杯。

演奏会の翌朝、ハイデルベルクまで送っていただき、バスでストラスブールへ。
ストラスブールは、ドイツ国境を越えてすぐのフランスの街です。留学していたフライブルクからも1時間で来れたので、オッフェンブルク乗り換えの列車で カテドラルでの演奏会を時々聴きに来たり、馴染みのある街ではありました。あの当時、演奏会を聴いた後、終電に乗るために走った、、節約してトラムには乗らなかったけれど、 いま来てみると結構な距離で、若かったな、と。 またドイツが休日で、大学、教会で練習できない日は、ドイツと休日が違うので、パスポートを持って(あの頃は、EU内でも国境越えにパスポートが必要でした) クロワッサンを買いに、コーヒーを飲みに、時々友人の車で来ていた街ですが、 いわゆる観光名所のプティット・フランスなど特別訪ねた記憶もなく、自分自身も変わっているし、違う立場で訪れると見えるものも違って見えるものですね。

美しいオルガンが街の中に点在しているストラスブール、以前はゆっくり聴いたり見たりする機会、また時間がありませんでしたが、今回は、この街に10年住んでいるお弟子さんが、 彼女がオルガニストをしている教会など、案内してくれました。 アルザス地方に工房を持っていたヨハン・アンドレアス・ジルバーマン(旧東ドイツのゴットフリード・ジルバーマンの甥)の楽器はじめ、 パリ・オルガン(パリにあるようなフランクなどフランスロマン派の曲が理想的に弾ける楽器)がありました。それも歩いて回れるほど近い所に点在し、素晴らしい環境です。 そんな街で、彼女は3か所の美しい教会のオルガニストをしていると言うのですから、素晴らしく、また羨ましい環境での活躍ぶりを見る、知ることが出来、ここでも嬉しい再会がありました。 3日間、ストラスブールに滞在し、そして次の演奏会の地、ランツベルク・アム・レヒへと、またドイツです、向かいました。

ドイツの列車は正確・・以前のこの概念は、完全に覆されていました。その噂は聞いてはいたのですが、ランツベルク・アム・レヒへの列車移動、3回乗り換え・・はこれまで経験ないほど大変でした。
このお話は、また後程、後編で。旅の写真も更新していきたいと思っています、またお訪ねいただければ幸いです。






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