オルガニスト楽屋話

第30話 演奏旅行の楽しさ ---1999.9.19.

一昨日、札幌から帰りました。今回は札幌コンサートホールKitaraで、 日本フィルとの演奏会でした。オルガンと背中向きの座席まで 満席になったホールで、そしてまた私の好きなKiataraの オルガンでプーランクのコンチェルトを演奏出来たことは、 何とも幸せなことでした。

演奏家という仕事をしていて楽しいことのひとつは、旅行です。 以前は、新しい土地に行けると思うと、毎回好奇心いっぱいでウキウキ していたものです。 我が家の近くを走る電車を利用するよりも、飛行機や新幹線に乗っている ことの方が多いのが最近の現状なので、そんな気分はさすがに薄れ、 荷作りや出かけるのが面倒などと思ってしまうこともあるのですが、それでも 出かけてみると「良かった」という嬉しい思いを胸に帰宅します。

オルガンを弾き、その地の聴衆、主催者、あるいはファンの方々などとの さまざまな出会いがあります。

旅行の楽しみのひとつは、各地で味わう美味しい食べものです。 演奏会の直前は集中できるよう、軽い食事をするか、あるいは全く食べない ことが多いものです。けれでも演奏旅行の場合、前の日に現地に入ったりします。 そんな時は翌日のために、エネルギー補給。栄養のバランスのとれた、 せっかくだったら地元の美味しいものにありつきたいと思うところ。 そして演奏会後は、ほっとした気分の中でいただくお酒や食事の美味しいこと。 旅行中の限られた時間の中で、出来る限り美味しい思いをしたいと 頑張る食いしん坊な私です。

新潟、京都の懐石料理、秋田のきりたんぽ鍋、名古屋の近江牛、 博多の関アジ、長崎の中華、先日パリでのフレンチ、ベトナム料理・・ などなど、各地での味の思い出です。

今回も美味しい味に出会える札幌へ、大きな期待を持って出かけました。 ジンギスカンやカニが有名ですが、北海道でとれた新鮮な魚介類、野菜を ふんだんに使ったフレンチやイタリアンも格別なのです。 地元の友人の案内で、街の西の方の住宅街に点在する お洒落でステキなお店へ・・ まずはイタリアン(Enoteca de Ando)、そして小高い山の途中にあり 札幌の街を見渡しながら食事が出来るフレンチ(Il de France)、 コンサートホール近くのフレンチ(SHIN)、 そして今回の究極は、札幌で一番美味しいといわれる お寿司(すし処さっぽろ)をいただき大満足!!。 ”えっ、こんなに食べたの”と驚かれそうですが、 今回は2公演ありましたので、これは3日間の出来事です。

空港や駅でみかける旅行者達は、お土産を持ったり、楽しい旅からの 荷物を抱えています。私のバッグの中は衣装、楽譜にオルガンシューズ・・ 気ままな旅ではないのですが、今の自分にしかできない旅を 続けています。

Index