オルガニスト楽屋話

第34話 わあ、刺激的! ---2000.2.11.

趣味でも、仕事でも、何かに情熱を傾け、真剣に取り組み、 自分の能力とエネルギーを注ぎこむと、そこには喜びがあると、 またその反面、中途半端なことには、それなりの代償しか 与えられないと思うこの頃です。

私の日々の生活はスリリングです。 演奏家は聴衆に、”このことを伝えたい”と最大限の 努力をします。それは演奏している瞬間はもちろん、その準備の過程、 全ての時間にです。そこに妥協があったり、音楽に寄せる情熱が 薄れることはありません。 だからこそ自分に返ってくる反応もシビアーです。 けれどもそこには満足感や征服感があるのです。

”音楽を職業にするのは大変ね””楽しめればいいわ”という言葉に 納得することもありましたが、最近は、やはり音楽を仕事に出来て 良かったとはっきり答えられます。 それは生活の中で音楽を最優先にできることと、厳しい姿勢の中で 音楽とかかわってこそ得られる楽しさがあるからです。

私は大学時代、音大生でありながらスキーに夢中でした。山にこもり 長期の合宿、リフトなしの夏山でむきむきマンのような男の人達と 競技スキーの合宿はとりわけ辛かった思い出があります。 ヘルメットをかぶり、スタートに立つ緊張感も忘れられません。 アルバイトでピアノを教えていましたが、それはほとんど合宿、 道具やウェアーのためでした。

小さい頃からのピアノのレッスンも、スキー、テニス、英会話、進学塾などの お稽古事のうちのひとつであっただけで、よくある ピアノ一筋のような環境ではありませんでした。勉強も大好きでした。 というわけで、子供の頃は楽しいことが私の回りには一杯!といつも 思えました。

さすがの私も、今はスキーから縁遠くなってしまいました。時間もないし、 やはりコンサートを控えての怪我は怖いし、多くの方に迷惑をかけることに なります。 でもあんなに夢中になっていたから、色んな楽しいことを経験し、 充分遊んだから、逆に今は音楽に没頭できます。

やるからにはとことん・・仕事には全力投球、 休暇をとるなら長期がいいし、ハーブいっぱいやスパイシーなお料理が好き、 私はやっぱりより刺激的なものが好きなのかもしれません。

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