オルガニスト楽屋話

第37話 恐怖の飛行@シカゴ ---2000.6.22.

各地での演奏旅行に出かけ、暖かいお招きを受けた思い出は 色々あります。とりわけオルガンという楽器が教会に属している関係で、 演奏会をする教会のオルガニストにお世話になるということも 多々あります。

シカゴでのこと・・シカゴ大学内にあるロックフェラー記念礼拝堂には スキナー製作の、20世紀前半につくられたロマンティック オルガンがあります。これはとてつもなく大きなオルガンで、 8600本のパイプが教会内のあちこちに配置され、その響きはダイナミック!! ロイプケやヴィエルヌといったロマン派の作品を、 ドイツではお目にかかることはなかったこうしたオルガンで 演奏出来たことは、当時の私にとって大きな経験でした。

さてシカゴでは、ここのオルガニストの広大な敷地の中に立つご自宅に 招かれた後、”飛行機に乗せてあげる”と言われたのです。自家用 プロペラ機をお持ちでした。世界的なオルガニストである彼の演奏の腕前は 確かなものですが、飛行機の操縦を任せることには、ジェットコースターなど 大好きなさすがの私でも脅えたものです。 演奏会やレコーディングのために、アメリカ内は 自家用飛行機で飛んでいるという話も聞いていましたが、私が乗ることになるとは・・。

外の景色など見る余裕はなく、手に汗をにぎるような、恐怖の飛行・・ こんな恐ろしいことはなかったと言えるくらい怖かった、 シカゴでの忘れられない”ご招待”でした。

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