オルガニスト楽屋話

第66話 心に届く音楽を〜石井竜也さん「羽音」全国ツアーに参加して〜 ---2003.12.26.

予期せぬ時に、思いがけないチャンスは舞い降りてくるものです。サイトとCDで私のことを知った 某事務所からメールが届いたことが始まりでした。石井竜也さん(元米米CLUB)プロデュ―スの 「クラシカル・コンサート2003羽音」への出演依頼でした。テーマは『平和』、「人々が愛に包まれるように・・・」 こんなメッセージを伝えるコンサートを考えていて、オルガンの音がぴったりという石井さん ご自身の発案から起用が決まったそうです。石井さん曰く「オルガンは、天使が羽を広げ ているような形をしていますね。」・・なるほど、本当に!

コンサートは12月3日から25日まで、全国6ケ所、9公演・・・横浜みなとみらい、九州厚生年金会館、 白石キューブ、大阪シンフォニー、墨田トリフォニ−、愛知芸術劇場・・・いずれもオルガンのあるコンサート ホールで開催されました。右の写真は第1回目の横浜みなとみらい ホールの公演終演後に写したもので、今回のミュージッシャン・メンバーです。(写真をクリックすると、 大きい画像でご覧いただけます。)

後列左から、山岸ルツ子さん(ピアノ)、末原康志さん(ギター)、天ヶ谷真利さん(パーカッション)、 チェン・ミンさん(二胡)、私、井上麗さん(ハープ)、光田健一さん(音楽監督、キーボード)。
前列はストリングスのSTELLAのメンバー(森谷佳奈さん、加藤千晶さん、平松由衣子さん、田口厚子さん)。


石井さんプロデュ―スのステージは、ご自身デザインのオブジェ(中央は天使、両側はト音記号のモチーフ) のほか、照明などの演出にも凝ったアート 感覚溢れるもの。ビジュアル的にも楽しんでいただく趣向はまさにファンタジックなShowでもあり、 音楽でメッセージを伝え、会場にいらした方みなさまが感動と愛で包まれるようなコンサートにしたいと いう石井さんのポリシーが全面に打ち出されたものでした。

さてクラシックと、ポップス、ロック界のメンバー、始めはお互い違和感があり、 本当に共に音楽ができるのか不安でした。音楽の創り方、リハーサルの進め方、初めての経験 (例えば、ツアー前にはステージ上で神主さんによるお払いの儀式がありました!)、楽屋の雰囲気・・・ 慣れないこと、驚くことも色々ありましたが、リハーサルを重ねていくうちに息統合。仲良しに、いやそれ 以上に“最高の仲間!”と言えるまでになりました。音楽には境界はないのですね。 演奏の合間に良く語り、良く笑い、そして良く飲みました。

これまでのヒット曲に加え、新曲をこの編成で演奏しました。光田健一さんの編曲は 和声の美しさに加え、それぞれの楽器の個性を生かし、構成のバランスも素晴らしく、 公演が終わっていく度に、この音楽をこのメンバーで奏でられる機会をいとおしく思えるようになりました。 昨日の名古屋での最後の公演も感動のうちに終了、今日東京で 演奏会があるため私は打ち上げにも参加できず、最終の新幹線にぎりぎり飛び乗りました。 ツアーが終わってしまったこと、約1ヶ月の間一緒だったメンバー達との別れも悲しく、飛んでいくように 見える窓の外の夜景を見ていると、涙が浮かんでくるのでした。

コンサートは技術を披露する場ではない、一人のアーティストとして出来ることは何か、心に届く音楽を。 ジャンルを越え心が通い合ったメンバー達と素敵な音楽を奏でられた全国ツアー・・・私にとってかけがえの ない経験になりました。まるで天使が私に届けてくれた贈り物のよう。この機会を与えてくださった石井竜也さん、 一緒に演奏したメンバー達、そして演奏会を支えてくれたスタッフの方々に心から感謝!2003年をこんなに ホットな心になって締めくくることができ、本当にありがとう!!

チェン・ミンさんのお誕生日にバースデー・ケーキを(白石キューブ楽屋にて)。 楽屋はいつもお菓子がいっぱい、そしておしゃべりにも花が。
墨田トリフォニーホール楽屋で、ルッちゃん、まりさん、末さんと。 まりさんと私の胸には、石井さんデザインの天使のペンダント。









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