第69話 サンクト・ペテルブルク奮闘記 ---2004.8.29.
今年の夏休みはヨーロッパの東にある小さな国々・・ラトヴィア、エストニア、リトアニア(バルト三国)を訪ねました。 馴染みの薄い国々でご存知でない方も多いと思いますが、ポーランドとロシアに挟まれ、北欧に近い所に位置します。 西ヨーロッパからも少し離れていて、なかなか訪れる機会のない所なので、旅のはじめにサンクト・ペテルブルクにも 4日立ち寄ることにしました。モスクワに次ぐロシア第2の都市で、以前レニングラード・フィルと共演した際に、 オーケストラのメンバーから、「歴史と芸術に溢れ素晴らしい街」と聞いていたので、いつか訪ねたいと思っていた所でした。
しかし英語は通じない所が多く、表示もロシア語だけだったり。やはり敵国の言葉だからでしょうか、 駅や観光地でも英語で声をかけても、理解してくれようする姿勢など全くなく、かみつくようなロシア語で 答えてくるのですから、どうして良いか困ってしまう場面が何度もありました。 旅行中ありがたいのが「i」(トゥーリスト・インフォメーション)ですが、地図に示されている場所にはなく、 隣のお店で尋ねるとどうも移転した様子。何とか探し行きついたインフォメーションでようやく英語が通じ、 やれやれと思いバス(国際線のバス)の時間を聞くと、「これは先月のものだから今は変わっているかもしれませんねぇ」 と頼りない返事、調べてくれる様子もないのです。これが街唯一のインフォメーションなのです。 そして次の訪問地タリン行きのチケットを買うのに、バスが出発する駅周辺で尋ねること10回、 ようやく探すことができました。駅裏の建物の隅にカウンターはありましたが、外からわかるような看板などなく、 バス乗り場の表示もないのです。タクシーは高級車あり、錆び付いたぼろぼろの車ありで一体どれに乗ったらよい のかわからないうえに、流しの車はほとんどみかけません。街はとても大きいので、地下鉄に乗ることにしたのですが、 その切符を買うのに(コインを買うシステムでした)、これまた一苦労。地下鉄はとても深い所を走っています。 東京の新しい地下鉄駅も深いですが、比ではありません。長いエスカレーターなので、 本を読んでいる人も見かけました。非常時にはシェルターの役目をするという話もあります。 しかし駅はどこの国にもないような大理石張りの立派な造りで驚くばかり、思わず写真を撮りたくなったのですが、 撮影禁止マークが。見つかると罰金だそうです。 ロシア人と外人とで美術館、教会、劇場の入場料が10倍から20倍ほども違います。 入り口も違います。きちんとした指示が出ていないうえに、予約制もあり割り込んでいく人があったりで、 訳がわからず混乱状態。そしてどこも長蛇の列で並びます。バレエのチケットを買いに行きましたが、 カウンターで顔を見て、料金表をパタンと・・裏と表、2通りあるのです。 クレジットカードも普及していないようで、使えない所が多く、外国人個人旅行者にとっては不便なことが多い街でした。 しかし帝政ロシア時代、200年以上に渡ってロシアの首都として栄えた街だけに、残されているものは見ごたえがあります。 ペトロヴァレッツの宮殿や庭園、エカテリーナ宮殿の琥珀の間など、近年美しく修復され楽しみました。 はじめて目にしたロシア正教会の大きな建築はとても興味深いものでした。エルミタ―ジュ美術館はさずが 世界に誇る美術館・・所蔵品の多さもさることながら、建物内部も素晴らしく圧巻でした。スケールが大きく驚くことばかり。 あらためて大国、いや一つの世界ができていると思い知らされ貴重な経験をしました。 苦労をしたのも旅の思い出です。期待半分、不安半分で今回の旅は始まりました。次回はバルト三国のお話をします。 写真のページもアップ致しましたので、あわせてご覧ください。
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