オルガニスト楽屋話

第75話 この秋、思うこと ---2005.10.25.

暑い夏から秋へと季節は変わりました。食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋、おしゃれもできるし、 新しい季節の到来を楽しんでいます。日本の四季は美しいし、良いものですね。 日頃イタリアン好きの私でも、 秋刀魚に栗ごはんといったこの季節ならではのお味はgood、暑い夏、冷房のきかない教会は とても暑く大変でしたが、ようやく涼しくなり、練習にも集中できるようになりました。

最近弾きながら感じることは、自分の音に少し余裕ができてきたかな、という感触。 これは人と競い、良い成績や評価を得たいために一生懸命になっていた時代、 夢中になって走り続けていた時代には気づかなかったことです。 細部にまでたっぷりとした息づかいで歌い、暖かく、優しく、豊かな気持ちで 音楽と接っすることができるようになった気がします。

一昨日は、母校青山学院に3年前に完成したガウチャーホールでの演奏会。 小学校から高校まで12年かよったキャンパスには色々な懐かしい思い出があります。 勉強したり、遊んだり、楽しいことも一杯ありましたが、今の私の柱となっている キリスト教とオルガンとの出会いはここにありました。そんなキャンパスで、 熱い思いの同窓生の企画で開催され、お世話になった先生や友人はじめ 多くの方々に私のオルガンを聴いていただけたことはいつもの演奏会とも違う喜びでした。

こうした場面に触れる度に、一人でオルガンを弾いてきたのではなく、 実は多くの人に支えられて弾いてきた自分に気づくのです。これからは恩返しをしていかなくては! 自分に少し余裕ができてきたと感じる今、以前よりも豊かさや優しさも伝えていけるのではないかなと、また そうしたいものと思っています。

今年も年末にかけて忙しい季節を迎えます。毎年“恒例の”年末・・・ではなく、今年は一味違う、より豊かな 音楽を届けていきたいと思っています。


左上:コンサート直前に。
右:コンサート後に演奏台のところで。
下:中心となって支えてくれたスタッフと。








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