オルガニスト楽屋話

第134話  音楽は楽しい♪ ---2011.11.27.

“音楽”はすべての人が自由に楽しむことが出来る♪、国籍や身分や年齢も関係ないし、 誰もが自由に、好きなように聴き、歌い、楽しむことが出来ます。幅広いジャンルを、子供からお年寄りまで、 それぞれが楽しみ、時には悩み悲しんいでる人を慰め励まし、喜びや希望、勇気を与えてくれる力も持っています。 音楽との関わり方も様々、私達音楽家のように子供の頃からレッスンや練習を積んできた者だけでなく、 趣味として演奏したり歌ったりあるいは踊ったり、学校のクラブ活動で、幼稚園や学校で歌った歌に誰も が忘れられない歌はあるでしょうし、ありとあらゆるところに音楽は溢れています。万人が楽しめる、 そして生活を豊かにしてくれる音楽って素晴らしいな、と思います。

アップルの創設者である故スティーブ・ジョブズの伝記を読んでいますが、彼はMacコンピューター、 iPod、iPhone、iPadとパソコンや音楽配信の偉大なる発明家であったと同時に、デザインにもとことん拘り を持ったクリエイターでした。美しい形、美しいものを限りなく追求し、 私達に大きな遺産を与えてくれましたが、数々の名言も残してくれました。

『もし今日が自分の人生最後の日だったら、本当にやりたいことをしているだろうか?』 ・ ・これは彼の心を打つ数々の名言の中のひとつです。本当にやりたいことをしているか、、 もし今日が自分の人生最後の日だとしたら何をしたいか、、、。考えさせられる言葉ですね。 私は迷いもせずオルガンを弾いているでしょう。かけがえのないものを与えられたことを、幸せに思うと同時に感謝です。 毎日が最後の日となっても悔いがないように、、と心がけて過ごしていきたいです。

先週は上野公園内にある奏楽堂で(私が学生時代は藝大内にあったのですが移設され)、 「小倉末子の記念コンサート」を聴いてきました。小倉末子(1891-1941)とは、私も初めて知ったのですが、日本人初の国際的に 活躍し海外で認められたピアニストであり教育者で、丁度100年前に奏楽堂でも演奏したことを記念し、 彼女が演奏した作品を再現するという企画でした。神戸女学院と東京音楽学校(藝大の前身)卒で、 彼女の存在を発掘し研究発表されこの企画をされているのがフライブルク留学時代から親しくさせていただき、 現在神戸女学院大学教授の津上智実先生、そしてピアニストの山上明美先生方の室内楽・・ とても素晴らしい演奏でした。 小倉末子は「自分のためばかりでなく、世のために演奏活動を続けていた」という話で締めくくられ、 音楽の感動とともに彼女の生き様にも心を打ち、小さな私も世のために弾くこと、働くことが出来ればと 思わされるのでした。

今年も早いものでアドベント(待降節)の季節がやってきました。 今日は教会でバッハの「いざ来ませ、異邦人の救い主」、私達オルガニストは 「nun komm ヌン・コム、ヌン・コム」と言っていますが正式には「Nun komm,der Heiden Heiland」、 この大変美しいバッハのコラールを前奏に。 待降節の讃美歌を伴奏し、我が家にはクリスマス・ツリーを飾りました。今年は電飾はやめて、 オーナメントだけでシックに。私が生まれた最初のクリスマスに祖母からプレゼントされた銀紙(一番上の星など、、)やモールの オーナメントもまだ健在です。それからドイツ、オーストリア各地で求めた思い出のあるオーナメントたち。 そして我が家は、友人が心をこめてつくってくださったお手作りの綺麗なリースや可愛いクリスマス・グッズ、クリッペで 飾られました。

クリッペですが、以前メッセージ第60話でご紹介したもの、 そのほかいくつか増えたものがあります。


(左)ポルトガル旅行中にリスボンで見つけました。手作りで作家の名前が書いてあります、 とても繊細な細工で大切にしているクリッペです。 (右)シチリア島(イタリア)のタオルミーナで目に留まりました。南国のクリスマスを思わされます。


(左)ドイツ旅行中、ドレスデンで。小さなイエス様にも表情があり、手工芸の美しさと、木の温もりを感じます。 (右)チェコのクリッペ、素朴ながら可愛い。これは母からのプレゼント。

(左)フレッシュ・グリーンな樅の木とひいらぎの素敵で品の良いリースは友人のお手作り。赤い実と松ぼっくりが可愛い。 今年も1年守ってくれます。 (右)玄関扉にもお洒落なリース、こちらも友人のお手作りです。

心のこもったお手作りのリースやクリスマス・グッズに囲まれ、“オルガン”という掛けがえのないものを 私に与えてくださった神様に感謝し、クリスマスを迎えます。 今年は震災など思わぬ出来事がありましたが、被災地の方々の復興を祈りつつ、 みなさまもどうぞこの季節をお健やかに、そして良いクリスマスをお迎えください。

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